長谷川建築デザインオフィス株式会社

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住宅力

7つの性能で創る


数値で示せる「性能」を高めるだけでは「豊かな住まい」に到達し得ない・・・とても断言的ですが、これは真実です


性能づくりが住宅で大きな意味を持つ現在、性能とは「手段」であって「目的」ではないことを再認識しましょう。


住まいづくりの豊かさという「目的」を見据えながら、大切な「手段」である性能に、深く思索を巡らします。


性能の「襞・ひだ」を多く持って計画に望む、それが「7つの性能で創る」宣言。


性能を通じて新たな「豊かさ」を見出すことが、このページの目的です。


※この特集の読み方

青字はキーワードを示しています。ここだけを読み進めても概要を理解できるでしょう。

赤字は関連記事へのリンクです。具体、詳細へつながります。

性能|快適な住まいを生み出す手段として

ここ数年来、建築物、なかでも住宅に対して「性能」が問われることが多くなりました。

そもそも性能とは何かとひもとけば、狭義には、「性質」や「能力」の総合で、一般的には定量化、数値化して示めされます。


つかいやすく、丈夫で、快適な住宅をつくりあげるための手段、その指標として「性能」を数値化するわけですが、建築学や空間設計でよく語られる「機能性」ですら、 数値で示しつくすには限界があります。


総じていえば、住宅性能は定量化で語り尽くせない深みがあります。


Photo|居心地のよい場所とは|さまざまな性能が重なってできあがるもの 

日々の豊かなひとときを創る性能

わたしたちが指標とする「7つの性能」は広義な考えに基づき「住宅力」を支えます。 日々の暮らしを豊かな気持ちに導かなければ、その性能を目指す意味もありません。逆に記せば、豊かな印象や体感の背後にある性能を見定める。例えば


豊かな空間印象には性能に裏打ちされた、素敵な「空気感」がある

◯そこには、本当にきれいな空気がある|換気性能、素材性能


◯ニュアンスに満ちた光の変化がある|採光性能、温熱性能


◯めぐまれた敷地でなくても、視線の抜けや、空などへの眺望、ひろがりなどの生活風景がある|美の性能、開放性能


このように印象の背後には指標とすべき性能が控えています。


Photo|間接光線のやさしい空間|画面を観るに居心地よい光環境性能 

例えば、自分の時間を大切にできる価値を生む性能とは

自分の時間と性能。一見関連性が見えませんが、あえて性能から、新たな価値を探りだしてみましょう。


自分の時間を創るには|家事をストレスフリーに楽しくしよう!

◯料理という行為を楽しく|いうまでもなく、その人にとっても家族にとっても

 使いやすく・片付けやすい・機能性の追求


◯料理づくりの場所を豊かに|そこから何が見えますか、、、、|生活風景・眺望性能


◯洗濯する・干す・取込む・そしてたたむ・しまう|一連の行為を楽しく、そしてスムーズに


◯掃除や整理整頓|所持品の特徴に呼応した収納|暮らし方の改善を促す生活対応性能




日々の「さりげない健康」づくりは住まいから!

健康管理と住まいの因果関係は多くの識者が指摘するように重要です。住まいの性能の真骨頂というべきところかもしれません。


◯水と空気と光と風と|人間が一生の内に最も体内に摂取するものは「空気」で、しかもその6割は住宅の生活空間からという数字

 が示されています。やはり「空気環境」づくりが第一です。機械換気扇ばかりに頼るのではなく、外部の新鮮空気をごく自然に

 取込める開放性能・通風技術を


◯ストレスのない生活|暑い、寒いという身体的なストレスからの解放


◯アクティブにカラダが動く|段差バリアばかりでなく、住宅内のどこも温度差なく、適度な温熱環境に|全ての空間が使い切れ

 る費用効果性能、健康促進性能


暖かさや涼しさへの欲求は、暮しにとって相当に重要であることを、私たちは知っています。

多くの住まいを創り届けた後のお便りの喜びの声にそれはにじみ出ているからです。


Photo|食べる場所、つくる場所|動きやすさ、片付けやすさ、見晴らし

性能の一面的追求の弊害|無造作に断熱材を壁に押し込んだら壁の中で結露が起きた

1)過去に省エネ性能を高めるべく、無造作に断熱材を壁に押し込んだら壁の中で結露が起きて、木材が腐って耐久性が衰えるという事故が頻発しました。 暖かさ・涼しさを目指した断熱性能の向上が耐久性能を悪化させてしまった例です。


2)明るい印象づくり、これは採光性能や美的な性能向上といえますが、ガラスを多用して設計を行なうとします。 素敵な内外観の印象が手に入りました。

しかし、夏を過ごしてみたら暑くて居られない、あるいは、まぶし過ぎてテレビが上手く見えない、家具が焼ける、肌が焼ける、、


このように、空間を支える性能は、部分を一面的に高めることで、他方を劣化に向わせる状態・情況がおきてしまいます。


だから、しっかりバランスを目指して。ただ、バランスとは都合のよいことば。言うは易し、簡単ではありません。 性能が単純平均点な住まいに「感動」や「悦び」が存在するのかどうか。これも疑問です。


Photo|陽射しの獲得と制御|冬の光は奥まで導き、夏の陽射しは「外部」でしっかりカット
ここからは、少し詳しく、私たちの「住宅力」をささえる性能を説明して行きます。
性能ごとにに指標を設けましたので参考にしてください。また、実際には、それぞれに重ね関係づけ「豊かな住まいづくり」へと実装します。

性能1|温熱性能

 暖かさ・涼しさ・見えない居心地のよさを高める


キーワード:UA値、Q値・μ値・保温性・遮光性・開放性

住まい手の方々さえ語り始めた「Q値」とは、そもそもなにか。


かつて、温熱環境をアドバイスいただいた野池政宏先生

説明から流用させていただくと「UA値・Q値とは建物の保温性能の指標」です。断熱性能ではなくて保温性能なのです。 Q値が大きいと保温性は小さく、Q値が小さいと保温性は大きくなります。 では限りなく値を小さくすればいいのか?

例えば、皆さんが、とある住宅に訪問。とても薄暗く、表現しがたい不快感を感じたとします。しかし、UA値は0.4|Q値性能は「1.0!」とすこぶる優秀。このように人間の全ての感覚を値で満足できるものではありません。


結論から記してしまえば「バランス」を欠いている設計が不快感をつくる因です。

UA値 = 0.6の住まいよりもUA値 = 0.4の住まいが不快!なんてことは、平然と起きるのです!



○指標|長谷川デザインのQ値目標は 1.5〜1.9|UA値目標は0.5 

細かなお話のついでに、これは玄関の扉を手づくりの木製建具にした場合、既製の断熱扉に比べ値は一気に悪く、数字での性能値が一気に劣化。ところが、玄関扉を木製にしても、玄関を2重化、風除室化して、計算ソフトノ入力方法を一工夫すれば、他が優れていれば、良好な値の数に戻ります。 ですから、あくまでもこれら値は、美的な性能やコストバランスも考慮しての目標です。このレベルの施工を実現しているビルダーの方々とも協働したいところ。


値は「保温性」を示していると記しましたが、もし、とても小さな値、すなわち破格に保温性能に優れた建物に、真夏の太陽光線が直接室内に飛び込んで来たら どうなるでしょう。そうです、夕方以降、日が沈んでも、ずっと暑さが続いてしまい、熱帯夜でもないのに家の中が暑い生活が続きます。では、どうすればよいか。


◯指標|風通しの良い平面・立体空間設計をすること

暑さが不快な季節は徹底的に「廃熱」 廃熱力は開放性に富んだ空間から 生まれます。間取りと大きく関連しますから注意。

しかし、湿度も高くて、外も暑い日は、窓からの風も頼りにならないですね。根本的に日射を遮る工夫が大切です。

ここで登場するキーワードがμ値です。ミュー値と読んでください。μ値は主に夏の指標で「太陽光線の侵入量」を計算する際に使います。 従ってμ値が小さいほど夏の太陽による熱の侵入量が少ないということにつながります。


○指標|夏の遮光を重要に考える

南側には軒の出をたっぷり、そして、ひさし、西面・東面が開放的な土地の場合外着けルーバー・すだれ取付け、 屋根と窓の位置関係、等を美しくデザインし、μ値を小さくします。自然環境と呼応するかたちは美しい!(美の性能参照) 一方で、冬には日射エネルギーを室内に取り込みたいわけですから、夏と冬との両面で「遮光と採光」性を同時成立させること。これが、簡単ではないのですが、重要です。


○指標|冬の太陽角度、敷地に影響を及ぼす周囲の建物の影調査をしっかりおこう

この調査で冬の太陽エネルギーを合理的に取り込む面が見えます。そしてQ値を低く(保温力を高く)して、 その熱を逃がさないようにしましょう。蓄熱できればなお良好。(影の調査例はこちらから)

一年を通じて「適度に心地よい」すなわちバランス良く快適を手に入れるために温熱性能は必須条件です。

Photo|夏場の遮光性能|南面の窓、すっかり庇の影の下に入れ込む|μ値を小さく|西は垂直に遮光せよ

性能2|美の性能

  住まい手の価値基準に準拠し新たな美の性能づくりへ


キーワード:物語性・共感力・素材の力・空間の力


美は分裂を結びつきへと導きます。

生きる喜びを創出し、活きるチカラを湧現させてくれます。


美は外からやってくるというよりは、

人びとの感受性や感性に彩られて、それぞれの内側から浮かび上がる「私たちの感覚」

そう表現してもいいのかもしれません。


デザイン事務所にとって美の発見、美の創出はミッションです。 住環境における「美的なるものの定義」をするほどの能力は持ち合わせませんが 美の効果として、確かに信頼できるのは『感動』ではないかと仮説をたてることはできます。


ひとは生活において、ささやかでも、あるいは、大きくても「感動」を覚えた時に、

その奥に美性を見出しているのではないかと。

もちろん、これは目に見えるものに限定してではなく、 目には見えないコトでも、その奥に美の性質が宿っていることを知覚し、 感動するのではないでしょうか。


美の性能づくりへの指標をいくつか列挙してみます。

◯指標|「素材」の持つ力を感じること

素材感の希薄な材料も「素材感のない素材」として、他の素材感を引き立てる役割があります。


◯指標|「白」という色は無敵です

ある意味では判断力さえ失わせるくらい。色がないのに強い色です。

白にもさまざまなニュアンスがあるのでそれを引出して白を用いること。


◯指標|「素材」とともに「空間」に意識を向ける

図面ではつかまえきれませんが、現場がはじまったら意識を強く向けましょう。


◯指標|住まいづくりのプロセスも、結果としての完成する空間も、感動に結ばれる美を

そのための方法として


◯住まい手の美的な価値基準を深く理解する|共感しあうということ


◯家という「物」の質と、住まいづくりという「物語り」の質との両面を見つめて、楽しむこと|物語りのある家づくり

これら「共感プロセス」の詳しくはこちらに記しました。 住宅はプライベート性の高い場所です。それでも時々の来訪者に「素敵、センスいいわね、、、快適ね、、」と言ってもいただきたいですね。


重要なのは、まず自分たちが暮らして、こころから快適と感じ、暮らしを重ねても、なおじわじわと感動し続けられる「素養」を、空間のDNAとしてimprintすることが 重要であると考えます。暮す方々の喜びの表情が、なにより訪れる方々に「美の性能」の最も大きなちからである「生きる喜び」を与える、、、、私たちは、数多くの経験から、 そう確信しています。


Photo|ほどよい明るさとほどよい暗さ|内側と外側の結びつき|空間ににじむ住まい手の物語り

性能3|耐久性 持続性や安全性

  今最も関心の高い性能づくり


キーワード:腐朽・含水率・構造計画・家守り


長期優良住宅にはさまざまな性能の指標がありますが、ご存知ですか。 たとえば、ここで取り上げる「耐久性」は、ことばを代えて「劣化の軽減」とされ等級が決められています。

◯指標|耐久性の等級は最高レベルの「3」を行なうこと

これは普通の気象条件で、維持管理で3世代もつ「構造躯体が3世代(75~90年)もつ程度の対策」と品確法には記されています。 しかし、結論から言えば、ただこの仕様にしただけで全ての住まいが100年近く持つとは到底思えないと識者は指摘しています。

◯指標|建築構造体の含水率を、日のあたらない場所でも、床下でも、常に15%以下に維持できるような手法を重ねる これは長谷川デザインが20年近く取り組んできた手法|どまだんシステムで完成を見ました。木材の含水率に関してはこちらから。 外部からの雨水侵入や地盤からの湿気侵入だけでなく室内で排出される水蒸気も含めて、木造住宅は主要構造材が隠ぺいされた場所にありますから 換気計画にも工夫が必要です。24時間換気だけしていれば十分とはいえません。


◯指標|換気・通気を室内環境だけでなく、壁の中、床下、天井裏などにも徹底し、季節に応じた通気回路を設計する

地震に怯える昨今ですから、「耐震性能」にはあらゆるかたがたが注目しています。意外に知られていないのは、通気性能と耐震性能の関連です。 木材が風通しの良好な状態におかれて丈夫さを維持するのは、 古建築が歴史的に立証しています。 現代のアイデアを重ねてそれを実現します。(これも躯体換気システムとしてどまだんシステムで完成しました)


◯指標|耐震性能の根本は「安定した構造の原理」に適っているかどうか

安定した構造の原理はこちらに詳述しています。


○長谷川デザインの構造等級・品確法上の目標は最高レベル「等級3」を目指す。

建築基準法の1.5倍の地震に対抗できる指標。そもそも基準法は「震度6~7程度の地震に対して倒壊や崩壊はしないが、損傷をうける可能性あり」というレベル設定です。

注意///これら構造の安全性は、木材が含水率を15%程度で乾いている状態の「木材という素材の強さ」を前提にして、決められています。 木材が含水率を増したら、大前提が崩れてしまいます。


◯指標|まとめとして01|しっかりと含水率を低く維持し、かつ、安定した構造の原理に適った構造計画を為す。


◯指標|まとめとして02|屋根の上、雨樋、床下、北の隣地の迫る外回り、、ご自分で、維持管理

保守点検はなかなかたいへんです。しっかり立てたものを定期的に点検し、「お手入れ、お手当て」してあげる。これが「家守り」です。設計者・施工者と 将来的な取り決めをして、計画的に行ないましょう。


Photo|Five Gate House|生活のシーンがさりげない風景になる|温かな空気の通るゲート|構造体を乾燥させよ!

性能4|使いやすさ

  機能性の追求は美しさの追求



キーワード:広がりと落着き・動線空間・ユニバーサル


使いやすさは、皆さんのこれまでのやり方やクセに「適っているかどうか」も重要です。


◯指標|これからの希望ばかりでなく、現在の住まいでの暮らしをよく観察し、 良い点(使いやすい点)と不足点を洗い出す

これは、キッチンの水仕事のようなわかりやすい部分だけでなく

1)洗濯物干し場の高さや広さ、フロの洗い場の広さ、玄関の靴脱ぎスペースの広さ、

 ベッドとクロゼットとのすき間の寸法等々、広さに関わる点をよく観察していただく。

2)関係性の観察として、ソファとテレビの間を通過しないと隣のスペースに行けない、、

 そんな関係性を、現在の暮らしで冷静に考える。

3)冬ならば「暖房室」と「非暖房室」の温度差などもしっかり記録しておく。温熱環境は

 「つかい勝手」に大きな影響を及ぼしています。北部屋が使われないのはそのせいです。


◯指標|収納計画の基本は「Oneスペース・One収納」

トイレにはトイレに見合った、リビングにも寝室にも、それに見合った収納の形、棚の形があるはずです。基本はひとつの機能空間に、それを有効に整理整頓できる 収納をひとつしつらえること。


◯指標|動線という古い考え方は一旦忘れる|部屋の居心地を決めるのは広がり感と落着き感の共存

建築計画学をまっこうから否定するような記載ですが、住宅に限っては「廊下 + 部屋」という時代は過ぎ去りましたし、日本は元来からそのようなつくりではありませんでした。


もし、50坪を仕切りなしでも寒くないように温熱環境を整えられるのでしたら、皆さんはどのような空間を思い描くでしょうか。 きっと、自由に、開放的に平面計画するでしょう。もちろん、音を仕切りたい、目線を区切りたいという要望は別の次元で考えます。 テレビを見る場所とひなたぼっこをする縁側のような場所は、いっしょににはできませんが、関係づけることはできます。 そのときに大事なのが「広がり感」と「落つき感」です。


空間相互の「移動」に際して、歩行経路を差引いても充分に「落ちついたスペース」を残すには「外に出るドア」の位置や 収納の開け閉めの行為の位置などを、あたかも生活するかの視点で見出しておくことです。


◯指標|ループプランの便利さを検討する

長谷川デザインの平面計画にはとりわけループプランへの意識が高いのですが、ポイントは多重な結びつきを考えておくとさまざまなシーンが生まれるのと 当然移動に際して便利であるということ。こちらの住まいの2階の間取りをご覧下さい。


◯指標|段差の解消だけでなく「余白づくり」が大切

これはバリアフリーやユニバーサルデザインの考え方ですが、段差の解消ばかりでなく、居間とか食堂などと名前がしっかりつけられないような場所、 小さくてもいいのです。それは、椅子をちょこんと一脚置けるくらいの余白でいいのですが、そういう余白が、実際には大切です。


実際にたくさん椅子を置いておけば、お年を召された方はいろいろな場所で休めます。植物の置場としても活きます。すなわち、間取りは緩さが必要であるということ、 だからこそオープンプランとすべきだし部屋相互の関係性がとても重要なのです。 人間同士も一定の距離感/間合いが有効に働くように、空間も、空間相互を活かす間合いが必要なのです。


Photo|動線のない平面計画|落着きと広がりで

性能5|独自性

  わたしの家はどこにもないわたしらしさ


キーワード:感性の価値・参加型プロセス・汎用性


わたしらしさ、その場所らしさを極めると、新たな汎用性が生まれた!


これは最近経験した実話で、10年前に設計した住宅が事情あって売却されることに。その新たな住み手と、以前設計さし上げた住まい手と三者であった時のこと。 新しいお客様がいうには「私の為に設計していただいたように、空間の並びも、流れも、テイストもピタリ、、」と。相当にこだわって旧世帯主と練り上げた住まい だっただけに、つい顔を見合わせて微笑です。


さて、これは珍しいケースなのか、、と問うた時に、考えてみれば100年以上の風格の民家には、やや薄暗いけれど、現代人をおおらかに受入れてくれる度量がある。 その本質は「空間の広がり」なのだろうと直観します。


従って、小さな単位で造り込み過ぎず、開放的に、そしてそのなかに、住まい手の「好きなコト、楽しいもの」をしっかりと重ねると、 心を打つアウラ(オーラ)のようなものが浮かび上がって、「他の人にも共感を得るわたしらしさ」が生まれるのかもしれない、そう感じました。


皆さんが、せっかくの自由設計なので、わたしたちらしい独自性のある住まいにしたいとお考えでしたら、、


◯指標|感性に素直に|感動体験が重要です

とにかく設計段階、創作のプロセス会議のテーブルに具材(希望)を出してしまいましょう。

例えば、住まいが完成したら、旅に出る回数が減った、という感想をよく聞くのですが、これはある種の「非日常性」が、うまく生活空間内に埋め込めたことのあかしかもしれません。 旅の記憶、感動した場所、空間、、、それらは外にあるものですが、こころのなかにある感動するという感性です。


◯指標|あまり神経質にデリケートになりすぎると、おおらかな空間が生まれにくい

片付け方ひとつにしても、散らかっている場所が似合うようなこともあり得ますし、しっかり整理整頓する場所にふさわしい収納計画と、 生活的には散らかりやすく、すこし大雑把でいい場所もあるわけで、そうした対比も楽しみながら、おおらかな生活空間を創りたいですね。


◯指標|空間を語り合う「ボキャブラリー」の違いを埋められるようなプロセスを創出

これは事項のコミュニケーション力に詳しいですのでこちらをご覧下さい。


◯指標|「独自性があって汎用性がある」「私だけに適っているけれど、皆も共感してくれる」それを見出すのが自由設計基準

似合う服と好きな服は、違う。あるいは、好きな色と似合う色は違う、などとファッションの世界ではよく取沙汰されます。

建築はどうなのでしょう。私たちに「適って」いるからこそ「快適」なわけですから、

自分たちに適っている「こと」や「もの」に心を開いてみると良いのではないでしょうか。


オープンマインドでいると、まざまな可能性のなかから、ベターな、それでいて意外で新鮮な提案が皆さんに訪れます。


Photo|自らの創作品に囲まれて暮す至福

性能6|親・自然性

  自然環境と親しく、そして、エネルギーもパッシブに



キーワード:自然呼応力・環境対話力


親水空間(しんすいくうかん)というのは、海や河の水際が手にふれられる程近しい関係の場所を指します。親友はいわずもがな、こころ許せる友です。


ここで「親・自然性」とは、そうしたイメージの、建築と自然環境との関係づくりです。


しかし、そもそも「自然」なんて現実の世の中に残っているのでしょうか。

それより、そもそも自然ってなんなのか、、

哲学的な問いかけへの回答を出せる程の紙数はありませんが、ある学者さんのことばにおもしろいものがありました。


現在においては「加工された自然」「ありのままの自然」があると。


確かに、公園の樹木も、街路樹も、あるいは山の山林も、そのほとんどが植林されたものですね。加工された自然でしょうか。


それでは、太陽や風っていうのはどうでしょう。あるいは雪や雨、霜柱。雲や星、アオゾラや曇り空。どうも このあたりに「ありのままの自然」がかろうじてのこっているようです。


「親・自然性」は、この「ありのままの自然」に親しくなるという性能です。


○指標|パッシブ性能を高めよう。

長谷川デザインは25年以上パッシブに取り組んでいます。 パッシブ性能とは、 ありのままの自然への「応答力」「呼応力」人間的に言えば「対話力やコミュニケーション力」です。


太陽は輝いて、宇宙からなんらかの呼びかけをしている、と考えてみて下さい。そのよびかけに、人類は住居づくりとして世界中で、その土地その環境なりに、 それぞれ智恵をしぼって来た歴史があります。もちろん「電気」や「ガス」に頼らずにパッシブに、です。 ですから、それほど大それたことではありませんが、近年さまざまな発見も重ねられています。


◯季節風・恒常風を上手くつかまえよう。(地域の風がデータとして入手できます)

◯季節の変化に応答できるようにしつらえよう。(日照時間も四季折々すべて入手できます、周囲の調査は自らで)

◯地中のひんやり感を使おう。(地面が凍結する寒冷地では一律ではありませんが、地中は10?15℃という一定の温度が存在します)

◯熱を活かそう、雪を活かそう、雨を活かそう。(雪の活かし方がなかなか上手くできていませんが、それ以外はさまざまな手法が開発されています)


もちろん電気を全く使わずに生活する必要はありませんが、できる限り自然のなかにある潜在力を住まいに活かすことがこれからの建築の在り方。 奇妙なことばですが、哲学者の姜 尚中(カン サンジュン)さんの名言、「懐かしい未来」を目指すのですね。


Photo|外部空間は住まいを豊かにしてくれます

性能7|凹まない家

  蓄える能力が極め手



キーワード:蓄熱・蓄電・自立循環型・抵抗力・親自然性


2011年の3月11日の地震の後、しばらくして、被災地から離れた首都圏均衡でも、副次的におこるさまざまな現象を目の当たりにしました。 災害に強い住宅を目指す必要がありますが、いつくるともわからない地震や竜巻、津波にそなえて徹底的にお金をかけるわけにはならない実情のなかでせめて、 「凹まない|へこまない」程度の蓄えの性能を持とう!という提案です。(すでに実践中です)


○指標|日中の電気を最小限に

できるだけオフピーク時の夜間に、熱として蓄えよう。これは主に冬場に活きます。

床下蓄熱を暖房システムとして活用してきましたが、 この蓄えが効いて、真冬の新潟の大停電時に、寒さに凍えずに助かったと多数喜びの声が寄せられました。凹まなかった例です。


まずもって、停電するとガスの給湯器さえ着火しませんし(自家発電機があれば代替できますが)。 流行の燃料電池も停電時には動かないしまつ。ガス管の復旧は、地震時にはかなりの時間もかかります。

従って


○指標|ガスなのか電気なのかの選択時、「何をどのように蓄えるか」、蓄えやすい手法を考えて選択し、組合せを考える


○指標|太陽の熱も土間に蓄える。

これはまさにパッシブソーラーの考え方で、手法も世界中で事例があります。長谷川デザインの パッシブコンセプトハウスの事例はこちらです。


○指標|耐力を維持する|つまり力を蓄える

これは、構造計画にも連動しますが、木造であれば「構造材の感想状態をしっかり維持」することと、鉄骨造であれば、鉄は酸化すると錆びますから 結露させないように「ヒートブリッジ」に徹底的に注意すること。鉄筋コンクリートは酸化すると「中性化」して強度が劣化しますから 炭酸ガスから保護すること。それぞれの工法で耐力維持を考えて、丈夫さを保持。


○指標|電気を創る、蓄える

主に太陽電池+蓄電池(電気自動車)や燃料電池+蓄電池(電気自動車)ですが、投資額が低くないので、太陽光パネルであれば 最大効果を発揮する場所と造形、そしてメンテナンスを考慮した屋根パネルを「美しく」デザインします。


○指標|涼しさを創り蓄える

これからの重要課題ですね。扇風機が売れに売れている昨今ですが、涼しさも蓄えることが可能です。但し、室温と10℃以上の 差が起きると「結露」を起す場合がありますから要注意。


今後はこの「結露」を積極的におこさせて空間の湿気を集めてしまって、同じ温度でも「カラッとしていて蒸し暑くない」という手法を開発する予定です。 湿気を蓄える、、でしょうか。できるだけ一次エネルギー(石油原料)を用いずに、パッシブな手法と、蓄えるアイデアを重ねて凹まない住まいを創出して行きます。


Photo|この無尽蔵な恩恵を大切に蓄えよう
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