長谷川建築デザインオフィス株式会社

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問題解決力

集合住宅 03|M・CASA 賃貸集合住宅

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集合住宅のロングライフ化を実現する

集合住宅のロングライフ化を実現する際、問われるのは建築躯体の高耐久性と、 建築に比べその寿命が短い設備の「更新性」向上です。 個人事業主が長期金融によって建設費をまかなう賃貸集合住宅では長寿化への方策はことさら重要。 本プロジェクトが採用したスケルトンとインフィルの完全分離手法は、今後も多産されるであろう、 都市型、開放片廊下集合住宅の問題解決に結ばれる標準解を目指しています。 超長期的見地にたてば、これは集合住宅以外のプログラムへのコンバージョンを可能にする姿勢ともいえます。 賃貸集合住宅の資産としてのクオリティ向上が S・I 化 の本質と捉えたプロジェクトです。

 

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エントランスの夕景を印象的に

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基本コンセプト

 

デザインサイドの問題設定/問題解決

1.標準解をいかに昇華させ他のビルタイプへも拡張応用しうるかに力点をおきました. /構造とインフィルが単に分離するのではなく建築のリズムや場の創出へダイレクトにつながる造形表現を成しています。

2.バルコニーと空調機が前面に出ないデザイン処理に配慮しています. /ファサードに関しては、南側にぶら下がる室外機は冷房効率も悪く醜悪なため北側に集約。 各住戸玄関脇の湯沸器もインフィルタワーに格納し玄関廻りを刷新しています。

3.地域柄デザイナーマンション勝算の可能性が低いエリアでのデザインを思索. /形態や間取りはローインパクトでありながら新鮮さとある種の上品さを目指しています /テクスチャーに関しては、退色しない(色あせを感じさせない)素材感とカラーリングを実現。

4.集住の安全性は明るさが第一義。内外共歩くことが楽しくなる明るさを所持. /裏面の無い計画を目指す。北側通路空間は「インフィルタワー」と名付けたエネル ギーや情報のための垂直交通と人間の移動交通を担う階段や通路を立体的に組み上げ、 陳腐ではないアクティブな様相へと網み上げました。

 

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壁構造と薄肉ラーメンの逆梁によって、フラットな壁・床・ 天井で、各部屋のレイアウトの自由度が担保されています。 部屋内だけでなく外部通路まで2重床をあわせることで、設備系インフィルの完全分離を計ります. また、逆梁の効果で天井いっぱいのハイサッシが可能になりました.

今後の集合住居デザインへの貢献として

1. SI分離は分譲マンションの一部で実行されてはいますが、それを形象化、 視覚化したケースは、賃貸ではまだ多くありません。「インフィルタワー」は消防法上も異例でかなりの対話をなし、 縦穴区画の生じない処理にまで高め一般化させました。

2. 薄肉ラーメン構造、逆梁、2重床を組合わせたスケルトン、そして、躯体から分離したインフィル形式と形態は、 デザイナーが手を掛けない数多くのマンションで取り入れれば、片廊下集合住居にも独特な景観性を付与し、 合わせてロングライフが実現します。スタンダードのボトムアップに繋げる狙いです。

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M・CASAは内外から高い評価をいただきました

2004-2005|グッドデザイン賞受賞

日本建築家協会|JIA建築大賞・優秀建築選選定

共に持続可能性デザインが評価されました

 

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南側の外観

手前はメゾネットが2層重なり4層構成.奥はメゾネット2層の間に1層フラットがはさまり5層となっています. 壁、床スラブが端部を細めて南側に突き出し、そこが白くペイントされています. 水平ラインの上にある打放しコンクリートの壁が「逆梁」であり、 これが床構造を吊っているというしくみです. 従って室内は2重の床で窓下まで持ち上がり、窓と天井の間には垂れ壁が全くないため、明るい室内空間が実現しています。

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エントランス

南北に貫通する壁が招き入れる入口。 杉の杢板を型枠にした出目地の打放しコンクリートと漆黒の天然スレートがコントラストをなしています.

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エントランスから2階ホールへ

斜め壁の間から階段へ。段々に巾が広くなる階段を矩折に折れ曲がる。 見上げるとはるか上部に螺旋階段が光を受けています。 2層吹抜けのホールは4層吹抜けの空間へと変化します。連続する生活風景を印象的に仕上げています。

 

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南北貫通通路

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15度に振れた斜め壁は南北を一気に貫いていきます. 階段下からのアッパーライトが放射状の影をつくりだし、 壁に沿って床に埋め込まれたライトが北庭へと導きます.

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北側オープンスペースの夜の様子

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生活風景をたいせつに

斜め壁に沿って北側のオープンスペースに至ると、 この建物の技術的特徴でもあるシルバーの「インフィルタワー」がランドスケープをつくりだしています。 北側の余白を憩いの場としている理由は、日常的に住人の皆さんは、自転車を多く利用することに注目しました。 日々、駐輪場からエレベーターへの往復がもっとも頻繁に移動する動線です。 そこを印象的な場所とすることである種の風景が生まれます。「生活風景」づくりが集合住宅では重要と考えています。

 

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インフィルタワーでつくるランドスケープ

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南面|ストリート側の姿

既存の商店街のボリュームに馴染むように手前を4層に、徐々に多層化する町並みに沿って 5層へと連続しています。

 

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街角のオープンスペース

エントランスのセキュリティーは徹底し、それ以外はむしろ開くことで セキュリティーを高める思想。

 

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多様なニーズに応える

郊外の立地を活かし、広さに比して賃料がリーズナブルです。 スケルトンの枠組みの中で、ディンクス、独身、小ファミリータイプ使用を考慮した多彩なプランを用意しています。

 

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全体計画|平面

 

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全体計画|断面

ディンクスや独身者への配慮として、室内物干スペースをタイルフロアーで用意。各住戸の生活の 様子を調査すると、この場所はすこぶる有効に用いられていて、室内物干の重要性を実感します。

 

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フラットタイプ|メゾ・フラットタイプ

引戸の多用から、可変性の高いプランが得られました。外気に面した浴室も全戸に徹底させました。

 

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巾4メートルの可能性

 

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区画割りの巾は重要で、ワイドを4メートルに設定することで 壁の厚みを差引いて、仮に奥行きの深い収納をとっても、残りに8帖弱の落着きのスペースが確保されます。 自由度の高いレイアウトが可能な時、必ずしも常設の収納で計画を満たさなくても、入居者のウォンツは 別の次元で満たされと考えています。この住まい方の事実がそれをほのかに教えています。

 

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