長谷川建築デザインオフィス株式会社

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住宅力

住まいは生活から形づくる 「結ぶように発想」し「開いた家を創る」

住まいは「生活」からかたちづくる。
きわめて自然な考え方で、異論を唱える方がいれば、かなりへそ曲がりな人でしょう。
(あるいは、人間よりも空間好きの方、、、でしょうか)
ともあれ「生活」は人の「行為や活動」の積み重ねから成立しています。
「その人」の住宅は「その人の生活」を柔軟に受け入れるものでありたい。
とはいっても、住み手それぞれに生活はユニークですから
空間を創出するに先立って、その生活を見つめる「方法」を知る必要があります。
具体的には「カルテをつくる」という次項や 提案力のページ に譲って
ここでは、その各人ユニークで変化に富んだ生活を普遍的に背後で支える
生活環境づくりのキー概念を考えてみましょう。

バリアを見抜く目を持とう

あらためてとりあげるのは「バリアフリー」。
いまさらバリアフリーですか、、、   いえいえ、古くて新しいテーマです。少し話が大きく聞こえるかもしれませんが、ノーマライゼーション/Normalizationが宣言されて40年以上を経ました。現在「ユニバーサル/Universal」なモノづくり・「インクルーシブ/Inclusive」なコトづくりが、すでにデザインの主流へと(スローガンとしては)位置づけられました。ことばで書くのはたやすいのですが、しかし、真に達成するのは相当な闘争が必要かもしれません。

経済的、地域的、人種的、性的なあらゆるものに潜在している「差異」の考えの克服を、デザインで成し遂げようと言うのです。住まいを考えることは生活を考えること。生活の在り方を見つめれば、当然、人を考えることになる。見える、あるいは見えざる「バリア・障害」を見出して克服する作業を、家づくりからはじめよう!それが私たちの提唱するバリアフリーデザインです。

一方で、日常生活での「バリアフリー」という響きは、お子さんにさえ周知されました。だからこそ、本意に帰ってみる。
物理的バリアの解消以外に、即物的ではないバリアフリーデザインも考えてみましょう。

バリアとは文字通り障壁や障害を総称します。これを「フリー」化する、すなわち障害物をなくしていくということです。
目を凝らして観察しますと、実は様々な場所、局面にバリアーは存在します。
バリアフリーの生活環境づくりは「バリアを発見する目を養う」ことから始まります。

太陽のバリア

家の中に明るい場所と一日中全く日射しが入らない、明かりの気配さえ感じられない場所がある。
これは太陽の光を遮断するバリアがあるからに他なりません。このバリアをこしらえない方法を多角的に調査する必要あり。
(温熱環境/太陽のことを参照)

風のバリア

風のバリアフリー


風通しの悪い家はいかに段差が解消されてもバリアフリー住宅とは呼べません。

住宅を閉め切ったままでも24時間換気できるような機械に頼り切った「潜水艦住宅」とでも呼べる考え方もありますが、
「自然の揺らぎを伴った風」を肌で感じられる住まいこそ人間にとって原始的な環境です。

それを回復するには「開放性に富む」空間づくりを再考。
(温熱環境/風のことを参照)

温熱環境のバリア

身内を現実的に脳梗塞や心筋梗塞で失ったことがあるひとは、ことさらこの温度環境の
在り方が気になるでしょう。家のなかの事故は、階段やお風呂場など段差を伴った場所以上に、致命的な事故は極端な温度差のある場所におけるヒートショックから生じています。 高齢者を含む肉体的ハンデのある方々が、心不全・脳内出血・脳卒中などを引き起こす、あるいが悪化させる主原因として温熱環境の担う役割は重大。冬場ふとんのなかでは40℃に近い温もりが 体を包んでいますが、
夜間トイレなどに向かう際、廊下に出ると、そこはおそらく10℃以下の世界なんていう住まいが、まだまだあるのです。
健常者でも大変なギャップです。建物内の結露は温度差があるかぎり解消できません。
結露、とりわけ壁の中の結露は腐朽を生みます。
建物の耐久性を担保するにも、温度差を極端に生じない作り方が必要。

温熱環境がバリアフリー化された家がすでにスタンダードです。
(どまだんシステムの項を参照)

こころのバリア

ひとつ屋根の下に暮らす家族が努力をしなければコミュニケーションできないような、生活が分断された間取り。
人間はタフでどんな環境でも順応するとはいえ「低きに流れる」 つまり楽な方に流れる。
対話にはパワーが必要なんですね。耳が痛いですか、、、、ともあれ
ごくごく自然に顔が見え、心が結ばれるバリアーのない間取りを目指しましょう。
(次ページの「間取りの読み方」を参照)

住まいと町のバリア

住まいと町のバリアフリー

街路は道路となり、町から「かいわい」といった情緒は失われ、自分の家の前に水を打つ人などは希少価値、
前の道路のゴミすら私には関係なし。これは住まう方のこころの問題だけでなく、もっと複合的な原因がありそうです。
「住まいのつくり方」も起因しているのではないか。なぜならば、町は住まいの総体だからです。
町と住まいを結ぶ。ここにも新たなバリアフリーが求められます。

時間のバリア

時間を経るごとに、より「生き活き」と暮らせ、時とともにある種の風格さえ浮かび上がる、
そんな住まいを取り戻すには「時間」と向き合ってそのバリアを知恵で克服せねばなりません。
きちんと「お手入れ」することを前提とし、しっかり持続性・耐久性を持たせる。
「間取りの柔軟性」へ考慮し、時間を超えていきます。

住み手とつくり手のバリア

住まい手である皆さんは、自分の家づくりを現実化する際、建築家、工務店、ハウスメーカーなど
相談する相手はいずれにせよ、プロの設計家に要望を伝えそれを形に描いていただくことになります。
住む方がうまく「ことば」にできないような「想い」をすくいとって形にするのがデザインです。
この作業において、創り手と住み手の間のバリアがなくなれば
ハッピーな住まいづくりになり「自分に適った家」が必要条件です。
そう、自分に適っていることが「快適」なのです。
(後述「カルテ」と、次ページの「提案力」も参照下さい)

バリアーを見抜くまなざし、そして、バリアフリー化していくプロセスは、
一律なルールがあるわけでなく、そうした想いを
お互いが対話していく作業そのものといえます。

「結ぶように発想」「開いた家を創る」
これを語らいをするうえでの共通イメージとしてはどうでしょう。
この姿勢で、深いレベルでのバリア克服を成し、望ましい生活環境に結びましょう。

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